哺育部門は、宗谷岬牧場のデイリー部で生まれた交雑牛と市場導入交雑牛及び天塩牧場で生まれた和牛の子牛を哺育管理しています。それぞれ飼養環境は異なりますが、統一された飼養基準の元、「宗谷黒牛」「宗谷岬和牛」の素牛として肥育部門に受け渡すまでを管理しています。
担当する業務は、ミルクや飼料の給与、病畜治療予防、衛生管理、牛床清掃、そして施設の修理・保守、環境美化など多岐に亘ります。
肥育部門は、哺育部門から受け継いだ素牛を肥育出荷するまでの担当部署です。交雑種の「宗谷黒牛」、和牛の「宗谷岬和牛」を飼養管理し、月齢ごとに2つのステージに分けられ同一基準で管理しています。
主な業務は、給餌作業、牛床清掃、堆肥処理、出荷業務があげられます。その他に施設・車両のメンテや環境美化、他部署の応援など、作業は牧場運営全般に及び各部門を統括する中心的役割を果たしています。
私たちが生産する「宗谷黒牛」、「宗谷岬和牛」は、「全農安心システム」に則った生産管理により、出生から出荷にいたるまでの給与飼料や治療歴などきめ細かい情報管理が行われ、徹底した生産基準の順守によって安定した高品質の枝肉生産を実現しています。
また、宗谷の潮風を浴びた自然環境で育った肉質は、脂はほのかに甘く赤身は味がしっかりしていて味わい深く美味しい牛肉と好評です。
肉用繁殖部門は、天塩、豊富の2牧場に設置されています。こちらの部門では、黒毛和種の人工授精(以下AI)から分娩までの繁殖管理全般と飼養管理を担当しています。
繁殖牛は、道内はもとより遠く鹿児島などの南九州から資質、増体など安定した遺伝力で評価の高い著名種雄牛の産仔を導入し、資質系或いは、増体系によって、相性の良い数頭の供用種雄牛を選抜してAIを行い、バランスの取れた良質な牛の生産を行っています。
繁殖牛は、天塩牧場・福永牧場に集約し、AIから分娩までを繰り返しますが、6月から10月までの夏季の間は、AI後の妊娠が確認されると宗谷岬牧場や近隣の公共牧場などに移動して放牧します。
また、1年を通じてAI中や、分娩前60日以内の妊娠後期及び導入後間もない繁殖素牛の管理は、栄養状態や分娩までの日数に応じ、グラスやコーンサイレージ、ラップサイレージなどの粗飼料を中心に給与し、元気な仔牛の生産と高受胎率を目指しています。
AIなど一連の実務は全て自社完結で行っていますが、AI時期や回数、妊娠時の栄養管理など詳細に亘り一定の基準が設けられ、それに沿って飼養管理されます。
『今日も無事故で安産』が繁殖スタッフのモットーです。
酪農部門は、宗谷岬牧場内に設置されており、一棟250頭を収容できるフリーストール牛舎二棟や40ポイントのロータリーパーラーの他、排水浄化処理施設、飼料調製庫などの付帯施設も整備されています。
こちらの部門では、搾乳、飼料給餌、繁殖管理(人工授精や分娩管理など)を大きな柱として、作業を行っております。
朝と夕方の2回搾乳を行い生乳を生産し、
ホルスタイン種をはじめとした生産子牛に、良質の粗飼料をメインにし、牧場独自の指定配合した混合飼料を給与しています。
生産子牛は多い月で50頭前後。ホルスタイン種に黒毛和種を人工授精して生まれた交雑種や受精卵移植による黒毛和種、そして性選別精液によるホルスタイン種が生まれます。
良質の生乳を生産するため、宗谷岬牧場では、生産量や乳牛のコンディションに合わせたり、飼料原料の成分分析の結果に応じて、配合割合をコントロールしています。
また、排泄された糞尿は、固液分離機によって分離され、液体は曝気処理した後スラリーストアに送られ、固体は堆肥舎に運ばれ発酵処理を行い、春・秋の2回有機肥料として草地に還元しています。
三方を海で囲まれていることから周辺環境に配慮し、搾乳施設から出る排水(洗浄水)は、曝気処理などにより浄化処理して放水しています。放水口周辺には雪解け時期になるとエゾサンショウウオの姿も確認できるほどで、こういった常に自然環境に配慮した循環型牧場を目指す姿勢がもたらした結果となっています。
飼料作物部門は、宗谷地区、豊富地区、幌延地区及び天塩地区の採草放牧地、耕作地にて堆肥・スラリー散布などの肥培管理や収穫作業、そしてトラクターはじめ関連する大型作業機などの保守・点検・管理を担当しています。
年度により作付計画に基づいて播種・栽培・収穫をしております。
参考までに、ある年は、宗谷地区においては、一部を和牛や乳牛の放牧地として利用し、残りはグラスサイレージや乾草などを収穫しており、天塩地区では、宗谷同様グラスサイレージ、乾草、ラップサイレージ及びデントコーンを栽培・収穫しています。
4月中旬、雪解けと同時に堆肥やスラリー散布で農作業はスタートし、デントコーン畑の耕起や整地、播種・除草作業と続き、息つく間もなく6月上旬から牧草の収穫作業に入ります。牧草の収穫は、自走式モアコン、ハーバスターやベーラーなど関連作業機2セット及びオペレータが進捗状況や天候に応じ、時には宗谷、天塩の2班に別れ、また、全体が集合して作業が進められます。
一番草に続いて二番草、更にはデントコーンの収穫と続き、秋の堆肥やスラリー散布そして秋耕を終えて11月下旬に農作業は一段落します。
この間、作業の合間や或いは他の作業と平行して、乾草などの倉庫への収納や作業機の修理・点検など毎日が夜昼なく時間との闘いに明け暮れます。
12月、一面が雪に覆われるころ、全ての農作業を終え、3月までの間、夏の間酷使したトラクターや作業機の修理・点検・整備を行います。
こうして収穫した乾草、グラスサイレージ、コーンサイレージは、約9,100頭に及ぶ飼養牛の粗飼料として確保されます。宗谷岬牧場は、粗飼料自給、自然循環型経営を目指し、更なる作業の効率化や生産性向上を図ります。